ベンチャーキャピタル(VC)と投資契約を締結する場合には「財務諸表が公正な会計基準で作成されており、かつ、財務諸表に記載されていない隠れた債務は存しない」「会社は訴訟を提起されておらず、そのおそれも存しない」などと表明保証を求められることがあります。このような場合、当該表明に反したときには損害賠償責任を負う旨が定められることから、表明保証にはペナルティー発動機能があると言われています。また、VCが投資する際には、予め財務的・法務的調査(デューデリジェンス)を行うことも少なくないのですが、そのような調査の補完機能もあると言われます。起業家において、後のペナルティーを受けないようにするためには、当該表明保証事項について、事実に反するものはないかなど、十分に確認する必要があります。如何なる表明保証を行うかについては、VCからの資金調達の可否、その金額にも影響を及ぼしかねないものです。表明保証の仕方でも、「知る限り」と「知り得る限り」とは、その法的意味が異なるのであり、弁護士の助言を受けながら、如何なる表明保証事項を定めるかについて、慎重に検討することが重要であると思料します。